summary要約

中央自動車道開設の目的は、次の4点に要約できます。

  1. わが国の3大経済中枢である京浜、中京、阪神の3地区を最短距離、最短時間で連絡し、その一体化をはかる。
  2. この3地区に挟まれながら本州有数の未開発地帯をなす中部山地地帯の画期的開発をはかる。
  3. 接続道路の整備と相俟って、東、西、中部及び。表、裏日本相互間の連絡を用意にする新たな交通体系を形成し、広汎な勢力圏にわたる、経済その他の交流の便をはかる。
  4. 新たな交通体系を形成するため、やがて全国土にわたり解説さるべき高速自動車道網の一環とする。

以上が中央自動車道開設の目的ですが、これを中央自動車道の性格としてみるならば、以下の3目的を同時に兼ねた多目的道路ということになり、国土開発中央自動車道と名付けた所以です。

  • 高速自動車道
  • 開発道路
  • 幹線路線

highway高速自動車道

本計画の目的に沿った自動車道についてまとめました。

自動車交通が鉄道交通とその輸送役割を分担して果たすべき役割は大きいが、自動車道の開設は、道路輸送におけるいわば急行線又は特急線を開設することと同一であって、それ自体は、重要経済中枢を最短距離、最短時間で連絡することを、第1の目的とすべきであり、途中の中小都市は整備された接続道路によって連絡すればよい。京浜、中京、京阪神を最短距離、最短時間で連絡するためには、この3地区間のほぼ直線コースに沿って開設されるのが最もよくその目的に合致するはずである。

京浜~中京~阪神間の連絡が、現在トラックで24時間行程であるような現状に対して、高速自動車道はその第1の目的を第1として京浜~中京~阪神間に開設さるべきである。(本計画は道路運送法による自動車道である。)

development road開発道路

以上を踏まえたうえでの開発道路についてまとめました。

従来の開発道路は、規定の低い道路で、資源の搬出程度のために開設され、よたよたトラックが、喘ぎ喘ぎ急坂を越えているといった有様を想像させる。しからずとしても、この地帯に適地産業を有利な条件で振興させようというような、経済地域の再編成を可能ならしめる近代交通路では到底ない。中部山地地帯が本州有数の未開発地帯として残されているのも、かかる程度の道路ではどうにもならない事実を物語る。

本来、開発とは単なる資源の開発というに留まらないものであって、これを基として適地産業が立地振興され、新たな都市及び農村が整備又は建設されて、ここに人口の再分布がみられることを目的とするものでなければならない。
中部山地地帯の開発はかかる意味の開発すなわち総合開発を目的とする。このためには時間的距離の克服が絶対の条件である。この地帯は3大経済中枢の中間地帯を形成しているのであるから、これらの地区に1時間及至2時間というような交通の利便がもたらされるならば、その画期的開発は期して俟っべきものと考える。

高速自動車道即開発道路、開発道路即高速自動車道としてここを貫通すべきである。
これによって前述の高速自動車道が途中で棄てなければならない既存中小都市間の近距離交通の一部(一般道理の整備によって賄えば充分である)の転換交通量の代りに、開発による国民経済えのプラスと、開発に伴う増加交通量がプラスされるのである。

国土開発中央自動車道案略図

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