what is?田中プランとは

昭和22年、田中清一により日本政府とGHQに提出された田中プランは、高速道路を利用した総合国土開発を提唱しており、「未開発地域への高速道路建設により第二の国土を造り、実質的な領土を拡大することで食料の自給自足を実現し、二度と戦争を起こさないための国土開発を行う」という平和に対する強い思いが込められています。

平和国家建設・国土計画大綱

田中清一の国土開発についての考えをまとめたもので、田中清一はこれに基づき全国の実踏調査を重ね、国土開発により効果的なプランを組み立てていきました。

(要約文)
  1. 日本の現在は、80%が山岳高原丘陵地帯である。これを立体的に有効に利用すべきである。
  2. 現在日本の国土には、眠れる森林資源、地下街原、水力源その他未利用の資源が豊富に蓄積されている。これらの資源は、道路が無いために利用されない。この道路を造れば、新たに観光資源も開発 されて、外人客の誘致となり、スイスのごとき観光収入が得られる。
  3. 更に、道路を建設することによって、その沿線に新農村、新工業地帯、新都市、教育や文化地帯を造成することができる。
  4. 従って、東京・大阪・名古屋などに膨大に膨張せる人口の再分布ができる。
  5. 更に交通のスピード化により日本の産業経済の飛躍的な大発展を図ることができる。
  6. 都市と農村、新開地との交通の利便によって、文化が均衡すると共に、所得の格差を是正することができる。

以上の構想から、日本全国を実踏調査によりて、下記のごとき方法が結論となりました。
「日本はまず、南は九州から北は北海道の稚内まで、日本を縦貫する高速自動車道を建設すべきである」
この「高速自動車道」は、幅24米の規格で往還別の立体交差となし、東京-大阪間ならば時速100Km、4時間半~5時間で行ける近代的な高速自動車道として建設することが条件です。

計画路線

眠った資源を活用することが目的のため、未開発の部分を多く通るルートが考えられました。しかし、田中プランが後に「国土開発縦貫自動車道建設法案」として成立後、国による「赤石山脈は難工事過ぎる」との判断により、現在のルートに変更になりました。

国土開発中央自動車道案略図

田中清一が構想した、国土開発中央自動車道案略図(赤色が計画路線)

TOKYO-KOBE_TOPOGRAPHICAL_MAP

東京ー神戸「国土開発中央自動車道」縮尺5万分の1のふかん図(巾1.5m、長さ9m)
東京ー神戸間をほぼ一直線に結んでいる。田中清一は各地の講演でこれを用いて国土開発中央道の必要性を説いた。

中央自動車道計画案鳥瞰図

技術面

台風の進路・霧・積雪など、沿線の気候条件ごとの対策 (除雪車の必要性等) 排気ガスの具体的な換気方法まで検討されていました。

構造物

トンネルは建設費が高価だが、開発道路としての価値を失わないように道路線形の悪化はあえて避けたといいます。
ダムと高速道路が一体化した施設も考えられていました。

設計基準

東京~八王子間など、平坦なところをA級、山地丘陵地帯をB級とし、それぞれの規格を設けました。また、最急縦断勾配を4%、最小曲線半径を300mとし、山地地帯による速度低下や貨物積載量低下をはかりました。
3Km以上のトンネルには、換気設備、緩行車線と、高速車線のダブル・ウェイを採用するなど考えていました。

トンネル

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